麻雀にはさまざまな役がありますが、その中でも「二個ずつ」の形をそろえることで成立するのが「七対子(チートイツ)」です。
七対子は、対子(同じ牌2枚の組み合わせ)を7組そろえることで完成する特殊な役です。一般的な麻雀のアガリ形とは異なり、順子を作らず、すべてが対子で構成されるため、独自の戦略が求められます。
また、七対子は門前でしか成立しないため、ポンやチーをしてしまうと狙うことができません。そのため、鳴きを使わずに手を進めるスキルが必要になります。
この役はシンプルな形で覚えやすく、初心者にも人気があります。しかし、単騎待ちの選び方や受け入れ枚数の少なさなど、注意すべきポイントも多いため、しっかりと理解しておくことが大切です。
この記事では、七対子の基本ルールや成立条件、役の組み合わせ、戦略について詳しく解説していきます。
【この記事でわかること】
- 「二個ずつ」の役である七対子の基本ルールや成立条件
- 七対子と複合できる役や高得点を狙うための戦略
- 七対子の待ちの選び方や守備面でのメリット・デメリット
麻雀の「二個ずつ」の役とは?七対子の基本

麻雀の「二個ずつ」の役とは?七対子の基本
麻雀にはさまざまな役がありますが、その中でも「二個ずつ」の形を作ることで成立するのが「七対子(チートイツ)」です。
七対子とは、2枚1組の「対子(トイツ)」を7組そろえることで成立する役です。一般的な麻雀のアガリ形である「4面子1雀頭」とは異なり、すべての牌が対子で構成されるため、独特の戦略が求められます。
この役の特徴として、門前(ポンやチーをせずに手を進めること)が必須である点が挙げられます。鳴いてしまうと成立しないため、自分のツモで手を完成させる必要があります。
また、待ちの形が必ず「単騎待ち」になるのも七対子の大きな特徴です。単騎待ちは読まれにくいため、相手が警戒せずに放銃するケースも少なくありません。一方で、必要な牌が場にすでに3枚見えてしまうとアガることができなくなるため、状況判断が重要です。
七対子は見た目がシンプルで初心者でも理解しやすい役ですが、実際にアガるには慎重な打ち回しが求められます。狙うタイミングや待ち牌の選び方を工夫することで、より有効に活用できるでしょう。
七対子の成立条件とは?

七対子の成立条件とは?
七対子は、以下の条件を満たすことで成立する2翻役です。
■ 七対子の成立条件
- 対子(同じ牌2枚の組み合わせ)を7組そろえること
- 門前(ポン・チー・明カンなし)で手を完成させること
- 同じ牌4枚(カンツ)を2組の対子とみなすことはできない
- 待ちの形は必ず単騎待ちになる
この中でも特に重要なのは「門前」でなければならない点です。ポンやチーをしてしまうと、その時点で七対子は成立しません。また、一般的な麻雀の手役とは異なり、4面子1雀頭の形を作る必要がないため、対子が多くそろったときに意識しやすい役です。
成立しやすいケースとしては、以下のような状況が挙げられます。
- すでに4~5組の対子がある場合
- 単騎待ちでもアガれる牌が出やすいと判断できる場面
- ドラが絡んで打点が高くなる場合
逆に、配牌時点で対子が少ない場合は、七対子を狙うよりも他の役を目指した方が効率的です。
七対子の基本ルールと注意点

七対子の基本ルールと注意点
七対子にはいくつかの基本ルールがあり、アガリを狙う際には注意が必要です。
■ 七対子の基本ルール
- 門前限定の役であるため、鳴き(ポン・チー・明カン)をしてはならない
- 待ちは必ず単騎待ちになる
- 点数計算が通常の役と異なり、符が固定されている
- イーペーコーとは複合しない
七対子の点数計算は通常の役とは異なり、符計算のルールが適用されません。そのため、4翻でも満貫にならず、5翻になって初めて満貫に達します。この点を知らずに過信してしまうと、思ったよりも低い点数でアガることになり、損をしてしまうこともあります。
また、イーペーコー(一盃口)とは複合しないという点にも注意が必要です。同じ牌が2枚ずつ並ぶため、一見イーペーコーと七対子が両方成立しそうに見えますが、七対子の形ではイーペーコーは認められません。二盃口(リャンペーコー)の形になった場合も、七対子ではなく3翻役の二盃口として計算されます。
七対子は独特のルールを持つため、しっかりと理解しておくことが大切です。
同じ牌4枚は認められない理由

同じ牌4枚は認められない理由
七対子では「同じ牌4枚を2組の対子としてカウントすることはできない」というルールがあります。この理由は、麻雀の基本ルールにおける役の成立条件に関係しています。
■ なぜ同じ牌4枚を使えないのか?
- 対子は「2枚1組」として扱われるため、4枚ある場合は「対子×2」とは認められない
- 4枚同じ牌を持つ場合は「カンツ(槓子)」とみなされ、七対子とは異なる形になる
- ルールの公平性を保つため、七対子は厳格に「対子7組」と定義されている
実際の麻雀の手牌では、同じ牌を4枚持つことは珍しくありません。例えば、次のような手牌を考えてみましょう。
例)七萬 七萬 七萬 七萬 東 東 南 南 北 北 白 白 發 發
- この形では七萬が4枚あるため、七対子として成立しません。
- 七萬をカンすれば「四暗刻」などの役に移行できる可能性があります。
このように、同じ牌が4枚ある場合は「カンツ」として処理することが前提となります。七対子を狙う場合は、すでに同じ牌を3枚持っているときにその牌を引いた場合の対応を考えておく必要があります。
七対子は比較的シンプルな役ですが、ルールの細かい部分を理解していないと「成立しない形を狙ってしまう」というミスをしがちです。しっかりと基本ルールを押さえておくことで、スムーズなアガリを目指せるでしょう。
七対子の形と役の組み合わせ

七対子の形と役の組み合わせ
七対子(チートイツ)は、麻雀の役の中でも特殊な形を持つため、他の役と複合できるケースが限られています。とはいえ、組み合わせ次第では大きな点数を狙うことも可能です。
七対子と複合しやすい役の代表例として、「タンヤオ」「ホンイツ」「混老頭」などがあります。これらの役は、七対子の形を維持したまま追加の翻数を得られるため、狙う価値が高いといえるでしょう。
一方で、順子(シュンツ)を含む役とは複合しません。そのため、イーペーコーやリャンペーコーとは共存できない点に注意が必要です。
七対子は門前限定の役であるため、鳴きを伴う役との組み合わせも不可能です。たとえば「対々和(トイトイ)」や「三暗刻」などとは成立条件が異なるため、狙う際には意識しておく必要があります。
実戦では、配牌やツモ次第で七対子を狙うか他の手役を目指すかの判断が重要になります。複合できる役を理解しておくことで、より柔軟な手作りが可能になるでしょう。
七対子+タンヤオの可能性

七対子+タンヤオの可能性
七対子と相性が良い役のひとつが「タンヤオ」です。タンヤオとは、2~8の数牌だけで構成された手に与えられる役で、比較的狙いやすい点が特徴です。
七対子は門前限定の役ですが、タンヤオも門前で成立するため、両者は問題なく複合できます。この組み合わせによって、七対子の2翻にタンヤオの1翻が加わり、合計3翻の手となります。
七対子+タンヤオが成立する条件
- 手牌がすべて2~8の数牌で構成されている
- 対子を7組そろえる
- 門前でアガる
たとえば、以下のような手牌であれば「七対子+タンヤオ」となります。
【例】三萬 三萬 四萬 四萬 五萬 五萬 六筒 六筒 七筒 七筒 八索 八索 二索 二索
- すべて2~8の数牌で構成されており、七対子の条件も満たしている
このように、七対子+タンヤオは比較的完成しやすい役のひとつです。ただし、タンヤオの条件を満たすためには、1・9・字牌が手牌に含まれないように注意する必要があります。序盤で不要な牌を整理し、七対子の形を意識しながら手を進めることが重要です。
七対子+ホンイツの組み合わせ

七対子+ホンイツの組み合わせ
七対子と「ホンイツ(混一色)」の組み合わせも、高得点を狙いやすい強力な手のひとつです。ホンイツとは、数牌の1種類と字牌のみで構成された手に与えられる役で、最低でも2翻(門前なら3翻)となるため、七対子と合わせると大きな打点を得ることができます。
七対子+ホンイツが成立する条件
- 手牌が1種類の数牌+字牌のみで構成されている
- 対子を7組そろえる
- 門前でアガる
具体的な手牌の例を見てみましょう。
【例】五筒 五筒 六筒 六筒 七筒 七筒 九筒 九筒 東 東 南 南 中 中
- 筒子(ピンズ)+字牌のみで構成されている
- 七対子の形を満たしている
- ホンイツの条件もクリアしている
このように、七対子とホンイツが複合すると、合計5翻(七対子2翻+ホンイツ3翻)になり、高得点を狙うことができます。さらにドラが絡めば跳満や倍満の可能性もあるため、積極的に狙う価値のある役です。
ただし、ホンイツを狙う場合は、特定の数牌と字牌に限定されるため、手作りの自由度が低くなる点に注意が必要です。序盤から狙うと、待ちが悪くなってしまうこともあるため、手の進み具合を見極めながら判断することが大切です。
チートイツ型の役満・字一色とは?

チートイツ型の役満・字一色とは?
七対子の形で狙える役満のひとつに「字一色(ツーイーソー)」があります。字一色とは、手牌がすべて字牌(東・南・西・北・白・發・中)で構成された場合に成立する役満です。
字一色が成立する条件
- すべての牌が字牌で構成されている
- 七対子の形または四暗刻の形などでアガる
具体的な手牌の例を見てみましょう。
【例】東 東 南 南 西 西 北 北 白 白 發 發 中 中
- すべての牌が字牌
- 七対子の形を満たしている
このように、字一色+七対子の組み合わせは、1翻や2翻の手とは異なり、確定役満となります。そのため、完成すれば非常に高得点を獲得できる魅力的な役です。
しかし、字牌だけで構成されるため、必要な牌が他家に鳴かれやすく、完成難易度が高い点には注意が必要です。特に、東場や南場では風牌(場風牌)が重なりやすく、相手が役牌としてポンしやすいため、字牌が場に出る前に手を固めることが重要です。
また、門前でなければ七対子が成立しないため、安易に鳴いてしまうと字一色でも別の形になってしまう可能性があります。七対子としての字一色を狙う場合は、慎重な打ち回しが求められるでしょう。
字一色は難易度が高い役ですが、成功すれば一撃で勝負を決められる強力な手です。配牌やツモの流れを見ながら、狙えそうなときには挑戦してみるのもよいでしょう。
七対子の戦略とアガリやすさ

七対子の戦略とアガリやすさ
七対子(チートイツ)は、通常の麻雀の基本形とは異なる特殊な役であり、独自の戦略が求められます。対子を7組そろえることで成立するため、一般的な手役よりも完成形が予測しにくく、相手に読まれにくいのが特徴です。
一方で、単騎待ちになるため、狙う牌によってはアガリやすさが大きく変わります。例えば、場に多く切られている牌で待てば、「地獄待ち」として相手から放銃されやすくなりますが、逆に場に2枚以上見えている牌で待ってしまうと、自分のアガリ牌がなくなってしまうため注意が必要です。
また、七対子は門前限定の役であるため、ポンやチーができません。手を進める手段がツモのみに限られるため、アガリに時間がかかる場合もあります。そのため、七対子を狙う際には「どの局面でどのような待ちを選ぶか」が重要なポイントになります。
七対子を狙うタイミング

七対子を狙うタイミング
七対子は、すべての手が対子で構成されるため、狙うタイミングを間違えると効率が悪くなってしまいます。そこで、七対子を狙うべきタイミングのポイントを押さえておくことが重要です。
七対子を狙うべきタイミング
- 配牌時に対子が4組以上ある場合
- 配牌の時点で対子が多い場合、七対子に移行しやすいため、最初から意識しておくと良いでしょう。
- 対子が自然に増えてきたとき
- ツモが進むにつれて対子が増えてきた場合、他の手役よりも七対子の完成が近いことがあります。
- 周囲の捨て牌から鳴きが難しい場合
- 周囲の捨て牌がバラバラで、鳴きにくい状況なら、門前限定の七対子を狙うのも選択肢の一つです。
- ドラや赤ドラが絡んで高得点が見込める場合
- 七対子は基本的に2翻役ですが、ドラが絡めば跳満や倍満が狙えるため、高得点の可能性があるなら積極的に狙いましょう。
一方で、配牌時に対子が少ない場合や、鳴きを活用すればより速くアガれる手になりそうな場合は、七対子に固執せずに他の役にシフトすることも重要です。状況に応じた判断が、七対子を成功させる鍵となります。
受け入れ枚数と完成難易度

受け入れ枚数と完成難易度
七対子は、対子を7組そろえることで成立する役ですが、その分受け入れ枚数が減少し、完成難易度が高くなることがあります。他の手役と比較して、受け入れ可能な牌の数がどのように変化するのかを理解しておくことが重要です。
七対子の受け入れ枚数の特徴
- 1組目~4組目までは比較的受け入れ枚数が多い
- 5組目以降は、完成に必要な牌が少なくなり、ツモ次第ではアガリにくくなる
- 単騎待ちになるため、待ち牌が1種類のみとなり、場にすでに2~3枚切られているとアガリ牌がほぼ消滅する
例えば、通常のメンツ構成の手であれば、リャンメン待ち(両面待ち)で2種類の牌を待つことができますが、七対子では必ず単騎待ちになるため、受け入れが1枚のみとなります。そのため、アガリ牌が1枚でも多く残っている待ちを選ぶことが大切です。
また、受け入れ牌の選択次第では、相手が放銃しやすい形(地獄待ち)を作ることもできます。七対子はアガリ牌を絞り込むことができるため、戦略的に待ちを選ぶことで成功率を上げることが可能です。
守備面でのメリットとデメリット

守備面でのメリットとデメリット
七対子は、他の手役と比べて守備面での特徴が大きく異なります。そのため、メリットとデメリットを理解し、戦略的に活用することが重要です。
七対子の守備面でのメリット
- 相手に読まれにくい
- 通常の4面子1雀頭の手役とは異なるため、捨て牌の傾向から七対子を察知されにくい。
- 他家が手を進めるために切る牌を狙ってアガることも可能。
- 待ちの自由度が高い
- 自分の判断で最適な単騎待ちを選べるため、場況に応じて有利な待ちを作りやすい。
- テンパイ崩しが容易
- 手牌が独立しているため、安全な牌を引いた際に容易に待ちを変えることができる。
七対子の守備面でのデメリット
- 受け入れ枚数が少なく、手詰まりしやすい
- 1枚の単騎待ちになるため、最終的にアガリ牌が場にすべて切られてしまうとどうしようもなくなる。
- 鳴きができないため、手を進める手段が限られる
- 七対子は門前限定の役なので、鳴きを活用できず、手の進行が遅くなりやすい。
- 相手のリーチに対応しにくい
- すべての牌が対子になっているため、安全牌が少なく、押し引きの判断が難しくなる。
七対子は、攻撃的にも守備的にも使える役ですが、その特性を活かすためには柔軟な対応が求められます。手詰まりになりやすい点を考慮しつつ、状況に応じて適切な判断をすることが重要です。
七対子は一見シンプルな役ですが、戦略的な側面を理解することでより効果的に活用できます。狙うタイミングや待ちの選び方、守備面での判断を適切に行うことで、アガリ率を向上させることができるでしょう。
まとめ

まとめ
七対子(チートイツ)は、対子を7組そろえることで成立する特殊な役です。門前限定のため、鳴きを伴う手役とは異なる戦略が求められます。
アガリやすさの面では、単騎待ちが基本となるため、待ち牌の選択が重要です。相手に読まれにくい一方で、受け入れ枚数が少なく、完成難易度が高くなることがあります。
複合可能な役としては、「タンヤオ」や「ホンイツ」などがあり、高得点を狙う際に有効です。役満の「字一色」との組み合わせも魅力的ですが、完成の難しさが伴います。
守備面では、柔軟な待ち選びができるメリットがあるものの、安全牌が少なく押し引きの判断が難しくなる点には注意が必要です。
七対子は独自の特徴を持つ役であり、適切な状況判断が勝利につながります。ルールと戦略を理解し、実戦で活用していきましょう。